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文:薮下佳代 写真:今津聡子

「長崎県・五島列島 祈りの島 vol.1 美しい教会をたずねて」はこちらから!

REPORT

長崎県・五島列島 祈りの島 vol.2 島のたからもの

異国の文化と、島の豊かな恵みが魅力の長崎県・五島列島。長崎市から高速船に乗って、一番大きな福江島と、中通(なかどおり)島へと向かいました。島のあちこちにある、“たからもの”を見つけに。

きらきらと輝く、島の風景

高速船「ぺがさす」に乗って約85分。あっという間に船上時間は過ぎ、島へと到着しました。五島列島のなかでも最西端の福江島にある五島市は人口約4万人、日本の離島のなかでも11番目の面積を持つ、とても大きな島でした。
大きな港に着いてもなお、まだ島に着いた気がしないのは、それほど大きく、近く思えたから。しかし、島を車でまわるにつれ、行く先々で海の気配を感じ、「あぁ、ここは島なのだ」と気がつくのでした。

島のシンボルである椿が咲き始めた頃の島の風景は、椿の濃緑の葉っぱがきらきらと銀色に光り、島をより輝かせていました。島の光は、どうしてあんなに強く感じるのか、いつも不思議でなりません。街中で感じるよりも、強く、まっすぐに届いている。そんな気がするのです。
太陽が沈む頃、大瀬崎灯台を訪れた時もその思いは一層深まりました。岬の突端、海に迫り出した断崖絶壁に灯台は立ち、その険しく荒々しい島の景観とは裏腹に、海はただただ穏やか。暮れかかった光は海にくっきりと光の道を作り出し、きらきらと水面を照らしていました。
ここは映画『悪人』の舞台になった場所としても有名ですが、島の人々も、ふらりと、一日の終わりを見届けにやってくる大切な場所。ここで出会った島の女の子も「ここから夕陽を見るのが好きなんです」と照れながらこっそりと教えてくれました。

島を取り囲む、海がもたらしたもの

島の美しいたからもの。それは赤や淡いピンクで愛らしい「南珊瑚」です。太陽の光も届かない、深い深い海の底で何千年という長い年月をかけて静かに育つ珊瑚はいろいろな種類がありますが、なかでも、優しげな色合いと輝く質感で、五島の南珊瑚はとても珍重されているのだそう。特に日本人に肌なじみのいい「エンゼルスキン(天使の肌色)」と呼ばれる淡いピンク色の南珊瑚に、「五島彫り」という繊細な職人技を施した装飾品が、五島の特産品。珊瑚は生命力を高めるパワーを持ち、古来、女性を守る宝石として大切にされてきました。私も小さな小さな珊瑚がついた指輪を、旅のお守りとして買い求めたのでした。

五島の島々で出会ったおいしい思い出

店の外へ出ると、木の箱いっぱいに入った獲れたてのきびなごが!まるで宝石のように銀色に光り輝く美しいきびなごは、五島の名物。新鮮じゃないと食べられないというお刺身は酢みそでいただきます。唐揚げや天ぷら、一夜干しもおいしいけれど、五島らしい食べ方といえば「いりやき」。醤油ベースのお出汁に入った鍋のようなもの。煮すぎないのがおいしく食べるポイントなのだとか。
近海で獲れた海の幸の豊富なことはいうまでもなく、ブランド牛の五島牛や五島豚、島で採れたお野菜を使った料理が楽しめるのも五島ならでは。なかでも、中通島に昨年オープンしたオーベルジュ「マルゲリータ」では、島の食材をふんだんに使った創作イタリアンが楽しめます。
五島といえば、五島うどんに、かっとっぽ(ハコフグの味噌焼き)、かんころ餅などの郷土料理も見逃せません。その土地ならではのおいしいものとの出会いは、旅の思い出をより豊かに、味わい深いものにしてくれるのです。

福江島のおすすめスポット
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高浜海水浴場 
長崎県五島市三井楽町貝津 遊泳期間:7月中旬〜8月下旬 福江港から車で40分

真っ白い砂浜とエメラルドグリーンの海に目が釘付け。五島で最も人気のある海水浴場として、夏には大勢の人で賑わう。近くには展望台もあり、入り組んだ島の稜線が望める。

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鬼岳 

長崎県五島市上大津町 福江港から車で5分

西海国立公園内にある鬼岳は
標高315m、全面芝生に覆われている。頂上からは福江島市街地や、遠くは上五島などが望める。夜は絶好の星空ポイントにも。

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大瀬崎灯台 
長崎県五島市玉之浦町玉之浦 福江港から車で80分

九州本土最西端に位置し、最後に夕陽が沈むところ。片道20分ほどの遊歩道を歩けば、灯台のある突端まで行くことができる。毎年12月31日には、その年の最後の夕陽を見る「夕陽鑑賞会」が行われ、年越しそばが振る舞われる。

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出口さんご
長崎県五島市富江町松尾662-1 TEL:0959-86-0613 
営業時間:9:00~17:00 不定休 福江港から車で30分

世界でも指折りの品質を誇る五島の珊瑚をお土産に。1Fが店舗、2Fはサンゴ資料館。ペンダントやタイピンなどの珊瑚細工体験もできる。

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心誠
長崎県五島市福江町10-5 1F TEL:0959-74-3552
営業時間:11:00~14:00、17:00~22:00 不定休 www.shinsei.asia

大きなお椀に入ったびっくり弁当1500円。島で獲れた魚のお刺身や、きびなごなどが入って、ボリューム満点。夜には島の食材が食べられる居酒屋に。

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五島コンカナ王国

長崎県五島市上大津町2413 TEL:0959-72-1348 福江港から車で10分
www.conkana.jp 

ホテル敷地内には、赤茶色の天然温泉「鬼岳温泉」も湧き出る。豪華な夕食は島の魚介類が楽しめる。ハコフグを裏返して、腹の中に身と味噌を入れて焼いた料理料理「かっとっぽ」のそのとぼけた姿と、素朴なうまさに焼酎が進む。

中通島のおすすめスポット
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五島うどんの里
長崎県南松浦郡新上五島町有川郷428-31
TEL:0959-42-0680 営業時間:11:00~14:00 定休日:年末年始

まるでパスタのような、そうめんのような、細くつるりとした五島うどん。ゆでたてを鍋からそのまま、あごだしや、生卵と醤油につけて食べる「地獄炊き」が絶品。不思議な食感でやみつきに。隣の新上五島町観光物産センターでお土産にぜひ!

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五島列島リゾートホテル マルゲリータ
長崎県南松浦郡新上五島町小串郷1074 TEL:0959-55-3101

www.margherita-resort.jp

2012年3月にオープンしたばかり。見晴らしのいい露天風呂からは朝夕ともに、太陽を眺めることができる。
シンプルな客室は全29室。これは中通島にある教会の数と同じなのだそう。島の食材が心ゆくまで堪能できるレストランも併設している。

INFORMATION

五島列島の観光情報はここでチェック!

五島市観光協会 www.gotokanko.jp
新上五島町観光物産協会 shinkamigoto.nagasaki-tabinet.com

ACCESS

五島列島へのアクセス

東京(羽田空港)から長崎空港へは、
JAL、ANAとソラシドエア、スカイマーク(神戸空港経由)が就航。
長崎空港から長崎港まではバスで35分。
長崎港から福江島まで、ジェットフォイルで約1時間25分。
長崎港から中通島まで、ジェットフォイルで約1時間15分。
福江島から中通島まで、ジェットフォイルで約30分で結ぶ。

九州商船 www.kyusho.co.jp