取材・文:上條桂子
REPORT
瞑想フラッシュモブ in 原宿
「止まる」時間を共有する瞑想フラッシュモブ
6月2日。天気予報は雨でしたが、そんな不安をはねのけて青空が広がった日曜日。原宿の駅前で「瞑想フラッシュモブ」が開催されました。フラッシュモブというのは、最近テレビやYoutubeなどで見たことがある方はたくさんいると思いますが、街中で通行人らが突如として集まりダンスや演劇などのパフォーマンスを繰り広げるというゲリライベント。もちろん、パフォーマーはすべて仕込みなんですが、街中が突然劇場になり観客たちは驚きとともに盛り上がります。
今回行われたのは「瞑想」のフラッシュモブ。よくあるフラッシュモブのような興奮ではなく「鎮静」を促すイベントなのです。このイベントを主宰したのは、東京アーバンパーマカルチャーを主宰するソーヤー海さん。彼は、宗教や思想に偏らない、シンプルな瞑想をもっと若い人たちに体験して欲しい、と月に一回「Wake Up」という瞑想イベントを開催。海さんが提唱しているのは、形式もいらず、参加も自由、ピクニック感覚で「気づき(マインドフルネス)」をもたらす瞑想法。これは、詩人であり平和活動家のティック・ナット・ハンが提唱するシンプルなブッダの瞑想に影響を受けたものだそう。
「若い人たちに、『立ち止まる』ということの大切さを伝えていきたい。瞑想というとどうしても怪しい、宗教的なイメージがあるかもしれないけれど、そうじゃなくて日常に取り入れられるものだと思う。アメリカの一部の人たちの間では友人同士の集まりの時に『じゃあ、ちょっと15分だけ瞑想する?』みたいな感じで瞑想することが日常の一部になってる。目まぐるしい毎日の中で、立ち止まって、ただ呼吸を味わうことで、町を歩いている人たちにも『いまここ』という瞬間に戻るきっかけを与えることができると思う」と海さん。
フェイスブックページや口コミで参加者を募り、原宿の駅前、明治神宮手前の橋にわらわらと集合。時間になるとアフロ姿の海さんが現れ、その場で座禅を組み、鐘の音を鳴らすことを合図に瞑想がスタートしました。集まった人びとは橋の反対側に座り、瞑想を始める。それだけ。あとは、各々の呼吸に身を委ね、「息を吸って、息を吸っていることに気がつく 息を吐いて、生きを吐いていることに気付く 息を吸って、今 息を吐いて、ここ」(webサイトより抜粋)といったように、呼吸に集中します。
私も参加しましたが、最初は、観光客の人たちが写真を撮ってるなあとかここは排気ガスが多いだろうなあとか、あれこれ考えが頭を巡っていましたが、しばらく目を閉じていると、そんな瑣末なことはまったく気にならなくなってきました。そして、瞑想をしている途中、座禅をしている人たちの横で突然太鼓の音が響き渡りました。最初はびっくりして動揺しましたが、次第にその音が心地よく感じられるように。太鼓の主は、このイベントの参加者ではなく海さんたちの姿をに共鳴し、演奏を始めたのだそうです。
そして30分後、再び鐘の音が鳴りイベントは終了。約20名ほどで「いまここ」の時間を過ごし「止まる」ことを共有した30分。時間としては短いですが、初めて参加した人たちは新しい感覚に気付き、街を行き交う人たちにもなんらかの影響をもたらしたのではないでしょうか。
このイベントの模様は、6月16日に東京大学で開催される「TED×Todai」で紹介される予定です。ソーヤー海さんは、このイベントで、自身の活動や都会でパーマカルチャーを実践することについてのプレゼンを行うそう。こちらも併せてチェックしてみてください!
INFORMATION
TED×Todai
日程: | 2013年6月16日(日)10:00〜18:00 |
---|---|
会場: | 東京大学本郷キャンパス内 伊藤謝恩ホール |
WEB: | www.tedxtodai.com/event |
ソーヤー海さんの瞑想会「Wake Up」や今後の瞑想フラッシュモブは東京アーバンパーマカルチャーのブログで告知予定。メーリングリストもあるので、ご興味のある方は登録をどうぞ。