工藤キキの貧乏サヴァラン

vol.19ニューヨークはコーヒーの坩堝でもあります
[NYタウンガイド編]

NYタウンガイド編

文:工藤キキ
ロゴ:石黒景太

春も吹き飛ばした長いながーい冬が終わったニューヨークにとうとう夏がやってきました。夏ともなればストリートのそこら中でアイスコーヒーを握りしめている人を見かけるほど、みんなアイスコービーが好きみたい......。そんなわけで人種の坩堝のニューヨークなだけにコーヒーのテイストも多種多様。

キキの住むチャイナタウンでは、チャイニーズのベーカリーで売っているミルクと砂糖多めでコーヒーの味がほとんどしないやつが主流。他にもデリで売っているコーヒーっぽい味はするけど水っぽくてグラニュー糖が底の方で溶けてないやつ、そして日本でもよく耳にするBlue Bottle やStumptown Coffeeといったコーヒー業界の流行りのテイストを持つブランドコーヒーを出すお店に、gimme! coffeeやCafé Grumpyなどのローカルのカフェが出すものと......ほんとにバラエティ豊富。大手スターバックスが主流の味という気もしないぐらい、日本みたいにドトールコーヒーのような標準的なレベルのものがどこでも手に入るわけではないと思う。しかも日本のアイスコーヒーの濃さが懐かしいと思うぐらい、全体的にコーヒーの味は薄いのが当たり前のような気がする......。
 
そんなわけで、今回紹介するのはキキが特に贔屓にしているちょっと変化球の3店。ドドールに思いを馳せながら......。


Fayda Bakery
こんなことを言うのもなんですが......チャイナタウンのほとんどのベーカリーで売っているアイスコーヒーはほんとに不味い......いや、不味いというか根本的なコーヒーの在り方が違うような......とにかく一般的に想像できるあのコーヒーの味がしない。まさに麦茶に砂糖と牛乳が混ざったような......というのは言い過ぎかもだけど、とにかく不味いと騒ぐ前に買わないのが常でしたが、ここFayda Bakeryでお店のおねえさんだちが「ミックス」と呼んでいるcoffee/tea アイスコーヒーはなかなかクセになる味。コーヒーとリプトンの紅茶とクリームがミックスされた、言ってみればロイヤルミルクティのような風味。ホットともなればチャイナ・ベーカリーのコーヒーも飲めなくはないけど、アイスとなるとどこも厳しい。個人的にはここもアイスよりもホットの方が断然美味しいと思うけど、どちらにしてもけっこう好きな味。

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Iced coffee/tea $2.50
83 Mott St. New York, NY 10013
www.fayda.com


Saigon Vietnamese Sandwich
ベトナム・サンドウッチのバインミーで有名なお店だけど、お店のおじさんいわく「うちのはストロングだよ」と胸を張っていうぐらい、ずしんとコーヒーの味が味わえるアイスコーヒーのひとつ。もともとがエスプレッソ的な濃い目のコーヒーとコンデンスミルクが合わさったのがベトナムコーヒーなだけに、デリやチャイナタウンの水っぽいコーヒーと比べちゃ悪いよというぐらいコーヒーの味はちゃんとする......しかもアイスになってもそのストロングなテイストはキープされて、朝飲んだら夕方までカフェインでビリビリくるぐらいのお味。他にもベトナミーズ・コーヒーはあるけど、ほんとにここのやつは濃い。しかもクリアのカップじゃなくて、スチロールの白いカップで出しちゃうところがお構いなしって感じでいい。

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Vietnamese Ice coffee $2.50
369 Broome Street, New York, NY 10013
www.vietnamese-sandwich.com


Roni-Sue Chocolate
ローワーイーストサイドにあるキキの冬の定番ドリンク、ホットチョコレートのフェイバリットショップがスタートしたアイスチョコレートならぬアイスモカ。お店のお姉さん曰く、2種類のコーヒーと2種類のチョコレートをブレンドした、まさにハイパー・チョコレードリンクだそうで、キキの夏の定番になること間違いなし。チョコレートの甘さだけでお砂糖もいらないし、チョコレートドリンク特有の甘ったるさもなく、コーヒーのテイストの方が強い感じなのもいい。最後まで水っぽくならないでコーヒーとチョコレートの味が楽しめちゃいます。

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Iced Moca $4.5
148 Forsyth Street, New York, NY 10002
www.roni-sue.com


kiki_mapicon19.png 今回ご紹介したスポット


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PROFILE

くどう・きき/アートライター。NY在住。著書に小説『よのなかのパロディ』、美術評論集『Post No Future 未分化のアートピア』(ともに河出書房新社)などがある。現在は、雑誌『NYLON JAPAN』にて「Art Tripper」、ele-king のウェブサイト(ele-king.net)ではNYのナイトアウトをレポートする「THE EVE」を連載中。ecocoloではNYでの贅沢貧乏なタウンガイドを紹介していきます。

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