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未来への電力<br>〈パタゴニア〉に学ぶ、再生可能エネルギー[前編]

写真:武藤 彩 文:草深早希 翻訳:江副友佳子 協力:カリフォルニア観光局

REPORT

未来への電力
〈パタゴニア〉に学ぶ、再生可能エネルギー[前編]

先進国でありながら電力においては、ドイツをはじめとする欧米諸国と比べて大幅に遅れをとっている日本。昨年4月に「電力自由化」がスタートしてから、まもなく1年が経とうとしています。水力発電・火力発電・原子力発電・地熱発電・新エネルギー発電......、ひとえに「電気を選べる」といってもその種類はさまざま。家庭で使われる電気への意識が高まるなか、いち早く最善策を実践していたのは、アメリカが世界に誇るアウトドアウェアメーカー〈パタゴニア〉。再生可能エネルギーを購入するだけでなく、国内外にある一部のオフィスで再生可能エネルギーをつくる彼らから、より良い電力を選ぶためのヒントを教えてもらいました。

電力自由化ってなに?

これまで地域で決められていた電力会社としか契約できなかった電気。2016年4月よりスタートした「電力自由化」では、地域で決められている電力会社だけでなく、ライフスタイルに合った新しい電力会社や電気サービスを自分たちで選択できるようになりました。主に、電気料金の値下げや再生可能エネルギーの拡大が目的。

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“最高のプロダクトを作り、環境に与える不必要な悪影響を最小限に抑えること”を目標に掲げ、ビジネスを通して環境問題と向き合うことに取り組んできた〈パタゴニア〉は、登山家で実業家のイヴォン・シュイナードさんによって、1973年カリフォルニアのベンチュラで創業。機能性だけに特化した最新技術が施されるアパレルウェアとは逆行し、“自然と文化の崩壊を避けるため”の持続可能なウェアづくりを実践してきました。フリースジャケットの素材を飲料用ペットボトルから作られるリサイクル素材に、コットン製品のすべてをオーガニックコットンにシフトすることで、環境に与える不必要な影響を最小限に抑えてきただけでなく、「ブルー・リボン・フライズ社」オーナーのクレイグ・マシューズとともに、年間売り上げの1パーセント以上を環境保護団体に寄付する「1パーセント・フォー・ザ・プラネット」という非営利団体を設立。その姿勢はウェアづくりだけにとどまらず、2011年に誕生した食品事業「パタゴニア プロビジョンズ」では、野生のサーモンを使用したスモークサーモンやバッファロー・ジャーキー、「カーンザ」という多年生小麦を使用したビールなど、食物連鎖の修復を目指したさまざまな食のプロダクトを手がけています。

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東日本大震災の起きた2011年、パタゴニア日本支社は、原発から再生可能エネルギーへの転換の必要性、そして、持続可能な社会にしていくためにどう行動するかを考えるプロジェクト「Go Renewable―再生可能エネルギーを生かして」を始動。その活動のなかで紹介している映画『シェーナウの想い』は、1986年に起きたチェルノブイリ原発事故後、ドイツはシェーナウの親たちが子どもたちの未来を守るために自然エネルギーの電力会社「シェーナウ電力会社」をつくる軌跡を描いたドキュメンタリー。電力会社を立ち上げたミヒャエル&ウルズラ・スーデラック夫妻が、持続可能なエネルギーへの転換、再生可能エネルギーの促進、地元で電力を生み出すための効率化を目的として、ドイツを支配していた「ラインフェルデン電力会社」から原子力に頼らない電力供給の権利を勝ち取るまでには10年もの長い道のりがありました。それでもドイツが電力自由化したのは、原発事故から12年が経った1998年のこと。

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▲ パタゴニア日本支社では、映画『シェーナウの想い』(2008年/ドイツ)のDVD貸出しを行っています。是非、ご覧ください。

電力自由化は、これまで使われてきた原子力発電の電気だけでなく、太陽光や風力、地熱、バイオマスなど、自然から派生する再生可能エネルギーの電気を選べるのもメリットのひとつ。すべての消費者が電力会社を自分で選ぶことのできる革新的なルールです。2008年から再生可能エネルギーを購入している〈パタゴニア〉では、国内外の一部のオフィスで再生可能エネルギーを発電。国内にある「パタゴニア サーフ千葉/アウトレット」と「パタゴニア 白馬/アウトレット」の直営店では、設置した太陽光パネルから合計18,950キロワット時(2015年度)*¹の発電が実現しています。同じく、再生可能エネルギー発電を取り組んできた、ベンチュラのパタゴニア本社とカリフォルニアの電気事情については、[後編]へ!

*¹一世帯あたりの電力消費量、年間平均が2,981キロワット時(2015年度/電力事業連合会調べ)になるので、18,950キロワット時の発電量は、約6世帯分の生活をまかなえることになります。

※「経済産業省 資源エネルギー庁」では、政府認定の登録小売電気事業者と、電力会社を切り替えるまでの流れをわかりやすく紹介しています。

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