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未来への電力<br>〈パタゴニア〉に学ぶ、再生可能エネルギー[後編]

REPORT

未来への電力
〈パタゴニア〉に学ぶ、再生可能エネルギー[後編]

昨年4月にスタートした「電力自由化」に続き、今年4月からは「都市ガス自由化」へ。先進国でありながら、電力においては欧米諸国と比べて大幅に遅れをとっていた日本も、いよいよ国民が電力を選べる時代がやってきました。ようやく生活の大きな土台がふるいにかけられるなか、すでに再生可能エネルギーを購入し、一部のオフィスで再生可能エネルギーをつくるという環境への最善策を実践しているのが、アメリカのアウトドアウェアメーカー〈パタゴニア〉。世界的にも電力が進んでいるといわれるカリフォルニアのベンチュラに構えるパタゴニア本社で、これからの地球を担う再生可能エネルギーの可能性を教えてもらいました。

前編]では、〈パタゴニア〉のポリシーと日本支社の活動の一部を紹介しています。

電力自由化ってなに?

これまで地域で決められていた電力会社としか契約できなかった電気。2016年4月よりスタートした「電力自由化」では、地域で決められている電力会社だけでなく、ライフスタイルに合った新しい電力会社や電気サービスを自分たちで選択できるようになりました。主に、電気料金の値下げや再生可能エネルギーの拡大が目的。

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ロサンゼルスから北へ車で約1時間半。南カリフォルニアで最良のサーフスポットを持つベンチュラは、ビジネスと環境保護のバランスを図る経営理念のもと、創業者、イヴォン・シュイナードさんの「社員をサーフィンに行かせよう」という哲学を反映する〈パタゴニア〉の本拠地として絶好のロケーションです。彼らの第1号店、ベンチュラストアと隣接している本社には、かつてイヴォンさんが創業した当時のブリキ小屋に加え、社員のための託児所を併設。さらに、毎日社員食堂で提供する食事には地域特産のオーガニック食材を99パーセント使用。それは、“環境に与える不必要な悪影響を最小限に抑えること”を目標に掲げ、ここで生み出されるプロダクトのすべてが環境保護に徹底していることに紐づく、まさに理想の環境です。

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ここカリフォルニアで電力自由化が開始されたのは1996年のこと。しかし、電力自由化が電力需給を逼迫ひっぱくした「カリフォルニア電力危機」*¹によって、2000年以降に電力自由化は一時中断へ。その背景について、〈パタゴニア〉環境戦略ディレクターのジル・デュメインさんは、「電力自由化に伴い、〈パタゴニア〉では再生可能エネルギーを求めていましたが、社会的には各州から参入した安い電力会社を競合させるだけのことになってしまったんです。それなら、各州から電力会社を参入させるより、州政府と電力会社がカリフォルニアで自然エネルギーをつくることのほうが根底にある目的を達成できると思いませんか? だから、現在カリフォルニアでは、北部・中部・南部に分かれる3つの電力会社が再生可能エネルギーの供給率を上げていこうという方針なんです。このような活動をもとに、私たちは、州政府へ再生可能エネルギーをつくるという申請をしました」と話します。

*¹電力自由化による電力価格の高騰や、電力需給の崩壊が原因となる大規模停電を防ぐために電力供給を一時的に停止する「輪番停電りんばんていでん」などの電力混乱のこと。

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▲ ジル・デュメインさんは、1990年より生地の開発を通して環境と向き合ってきました。13年前より、紙や水、電気など環境資源にまつわる現在のポジションに就任(2016年取材)。

本社の敷地内では、「ファイヤーハウス」*²と呼ばれるキャンパスと駐車場に設置した、498枚の太陽光パネルから再生可能エネルギー発電を実施。さらに、最近建設したばかりの撮影スタジオの屋上にも、撮影スタジオすべての電力をまかなえるよう300枚ほどの太陽光パネルを新たに追加しました。再生可能エネルギーを自分たちで発電することにより、電力会社が送配する電力網の消費量を11パーセント削減。また、日々アイデアが生まれるデザイン室に「LEDライト」を導入したことにより、本社全体で38パーセントの省エネも実現しています。

*²本社敷地内にあるキャンパスは全部で7つ。本社からほんの数ブロック先にあるカリフォルニア通りとサンタクララ通りの角に20世紀初頭に建てられた消防署をオフィスとして再現しています。

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風力、地熱、小水力、バイオマス......、さまざまに再生可能エネルギーがある中で、なぜ太陽光エネルギーを選んだのでしょうか。その理由についてジルさんは、「最初は本社の屋上に小さな風車をつけようと考えていましたが、ここベンチュラは風が少ないので、太陽光パネルしか選べなかったんです。ネバダにある『リノ・サービスセンター』*³でも風力発電を試みましたが、やっぱり風が少ないので発電するまでに至りませんでした」と、研究の結果を教えてくれました。実際のところ、ここでつくられる電気は、本社だけでなく、ベンチュラの住民も使用可能。それは、〈パタゴニア〉もほかの電力会社と同じように、州が集めた電力を電力会社が送配電で市民に供給する仕組みがあるからです。2006年に改正したカリフォルニアの「再生エネルギー化法案」は、2010年までに電力の20パーセントを再生可能エネルギーで供給すること目指した電力改革。その目標を達成した今では、2020年までに20パーセントから33パーセントまで再生可能エネルギーの供給率を引き上げることが法律で義務づけられています。

*³世界中に配送するための製品が保管されるサービスセンター。建設廃棄物の削減や認証木材による建設など、建物への配慮が、米国「グリーン・ビルディング協会 (USGBC) 」より「エネルギーと環境に配慮したデザインにおけるリーダーシップ (LEED) 」のゴールド認証を取得しています。

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そう遠くない未来を思い描きながら邁進するカリフォルニア。すでに発電に取り組む〈パタゴニア〉の将来を尋ねると、「最初に建てたキャンパスは設計が太陽光パネルと合わなかったので、敷地を拡張していくなかで建てるキャンパスには太陽光パネルを設置したいし、進んで再生可能エネルギーを選択していきたいです。スリランカにある工場は、〈パタゴニア〉の中で最も再生可能エネルギーを購入しています。中国、アフリカ、インドなど、ここと同じように太陽光が強くても再生可能エネルギーが本格的に導入されないのは、電力を貯蔵する場所がないからです。だから、太陽光エネルギーを貯蔵できる、バッテリーのようなものが開発されたらより良いと考えています」と答えるジルさんは、電力への希望と挑戦に満ちていました。

「サステナブル=持続可能」であること。現代にあふれる言葉のひとつとして活用するのではなく、いよいよ私たちは、持続可能な暮らしを具現化させる時に差しかかっています。

※「経済産業省 資源エネルギー庁」では、政府認定の登録小売電気事業者と、電力会社を切り替えるまでの流れをわかりやすく紹介しています。

STORE LOCATION


Patagonia_logo.jpgパタゴニア ベンチュラ
住所: 235 W Santa Clara St, Ventura
時間: 10:00〜18:00(月曜〜土曜)
11:00〜17:00(日曜)
定休日: 米国民の祝日
TEL: (805) 643-6074
WEB: patagonia.jp

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INFORMATION


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