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写真:在本彌生 文:兵藤育子

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REPORT

伊勢から熊野へ 自然崇拝の聖地を巡る2 和歌山県・那智勝浦エリア

那智勝浦で体感する、自然の生命力

有名な那智の滝を抱く那智山は、和歌山県出身の細菌学者・南方熊楠を魅了した場所であり、太平洋に面した勝浦は、豊富な湯の湧き出る温泉地として知られています。那智勝浦は、まさに水に育まれてきた土地。しかしその一方、2011年の記録的な台風で、この地が甚大な被害を受けたのは記憶に新しいはず。美しいだけではない、畏怖すべき自然の姿も感じられる、那智勝浦の多彩な魅力を紹介します。

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写真左:日本三名瀑のひとつとして知られる那智の滝(一の滝)。写真右上:西国三十三所第一番札所の青岸渡寺。明治初期に分離した那智大社に隣接。写真右下:一の滝の上流にある、二の滝。

熊野那智大社と御滝信仰
473段の石段を上るとお目見えする、熊野三山のひとつ熊野那智大社。伊弉冉尊(いざなみのみこと)といわれる夫須美神(ふすみのかみ)を御主神として祀っています。そして、一の滝を仰ぎ見る絶景ポイントにあるのが、那智大社の別宮・飛瀧(ひろう)神社。那智の滝は本来、那智山中にある60あまりの滝のうち、修行の場となっている48の滝の総称なのですが、最も大きな一の滝がその代名詞にもなっています。飛瀧神社は、滝そのものが御神体であるため本殿も拝殿もなく、落差133メートルの滝を間近で拝むことができます。

今回特別に許可をいただいて、那智大社の神域となっている二の滝、三の滝へも行くことに。滝までの道のりは、急な上りはもちろん、沢を渡ったり、岩壁に体を寄せてつたい歩きをしたりなど、かなりワイルド。樹齢千年を超える巨木や、どこまで続いているのか分からない一枚岩などがあり、自然のスケールも桁違いです。そして滝の音が徐々に近づいてきて、目の前に絶景が開ける瞬間はやはり感動的。二の滝は優美な曲線を描く女性的な滝として知られ、「如意輪の滝」という異名も。さらに上にある三の滝は、もう少し勇壮なたたずまい。白い水しぶきと、エメラルドグリーンの滝壺のコントラストが神秘的でした。

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写真左:二の滝、三の滝へ向かう山中にある巨木。写真中:沢をいくつも越えて、滝を目指す。写真右:ようやく辿り着いた三の滝。

聞くところによると、どちらも2011年の台風で、滝と周辺の地形がかなり変わってしまったそう。途中、巨大な岩や流木が道をふさぐように転がっており、自然が猛威を振るった跡はいまだ生々しく残っていました。しかし、こうしたところにも人の手を加えないのが、神域のルールなのだとか。少しずつ姿を変えながらこの地に生き続けているのだと思うと、滝に向かって自然と手を合わせてしまうのも不思議ではありません。

熊野那智大社
和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山1 TEL.0735-55-0321
www.kumanonachitaisha.or.jp
※二の滝、三の滝は、2〜3月に開催されるウォークイベントのとき以外の一般の人の入域が、基本的に禁じられています。

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熊野古道の最難所、大雲取越へ
熊野古道は各地から熊野詣でをするための道の総称で、いくつものルートがあります。なかでも那智と本宮を結ぶ道の一部である大雲取越(おおくもとりごえ)は、名前からも想像がつくように、雲をつかめそうなほど高低差の激しい道の続く、難所のひとつとされています。今回は14.5キロの道のりを那智から本宮方面へ向かうことになったのですが、道案内をしてくれた語り部さんいわく、「その理由は、あとからわかりますよ」とのこと。

朝8時、青岸渡寺の裏手にある大雲取越への入り口は、まるで冥界へでも続いているかのようにひっそりとしていました。しかし歩き始めていきなり、眠気が吹き飛ぶほどの急な上り坂が続きます。木々の連なる深い森へと分け入って、苔むした石段やかろうじて道と呼べるような古道を延々と歩いていると、自らの内面と向き合うような不思議な感覚に陥ります。一方で茶屋の跡や、那智勝浦の町と海を一望できる舟見峠、大きな岩に梵字の刻まれた円座石(わろうだいし)など、要所ごとに見どころもあり、昔の人の巡礼を偲ぶことができます。

後半、胴が切れそうなほど苦しい坂を意味する、胴切坂を通過。ここでようやく語り部さんの言っていた、コース選びの理由を知ることに。上りではなく下り方面から来たため胴切の苦業はまぬがれ、代わりに膝が笑う坂になったのでした。おかげで最後の最後に、スタッフ全員が次々と転ぶハプニングに見舞われつつも、17時に無事踏破。歩数は実に2万5000歩超。心身ともに、日常では味わうことのできない充足感がありました。

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熊野古道をはじめとする熊野の名所を案内してくれる、「和歌山県観光ガイド専門員 紀州語り部」。語り部さんのお話を聞くことで、熊野の歴史や文化をより深く知ることができます。今回のように長い距離を歩く際や、ルートが不安なときは特におすすめです。

和歌山県観光連盟 TEL.073-422-4631 または各市町村

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熊野では古くから山仕事のお弁当の定番だったという「めはり寿司」は、高菜漬けの葉でご飯を包んだ素朴なおにぎり。体を動かしたこともあり、中間地点の地蔵茶屋跡で、ボリュームたっぷりのお弁当をあっという間に平らげてしまいました。「熊野古道弁当」は、紀伊本線・紀伊勝浦駅、改札外駅前広場前で購入できます。

川柳 TEL.0735-52-0860

Recommend spot

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気取らずおいしく、地元に根ざしたパン屋さん
「コッペパンというと、給食のあまり良くないイメージがありますけど、それを覆すようなおいしいコッペパンを作りたくて、つけた名前なんです」。岡本峻彌さんは、愛嬌のある店名の由来をこう説明します。脱サラして、「初めて触った生地の感触が良かったから」という理由でパン屋を開業。以後30年にわたって、地元の人に愛されてきました。ガラスのショーケースには、菓子パンからおかずパンまで焼きたてがずらり。人気のパンは並んだ先からどんどん売れていきます。誰も気に留めなかったというカンパーニュを、3年間諦めずに店頭に出し続けた結果、今では人気商品に。「僕も勉強、お客さんも勉強なんです」と峻彌さん。現在は、息子の圭太さんが後を継ぎ、親子3人で店を切り盛り。休日は地域の子どもたちを対象に、石窯を使ったパン作り教室を開催するなど、町のパン屋さんは大忙しです。

ホームベーカリー コッペ
和歌山県東牟婁郡那智勝浦町朝日3-70 TEL.0735−52−4407
営業時間:7:00〜18:30 定休日:日曜・月曜

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旅の合間にほっとひと息したいときは
三軒茶屋のカフェ「rain on the roof」で働いていた鳥羽山恭兵さんが、水害を機に帰郷し、自宅のガレージを改装して2012年9月にオープンしたカフェ。日本有数のマグロ漁業基地である勝浦町に突如出現したおしゃれなカフェに、興味本位でやって来る人、晩御飯の前にふらりと立ち寄る人、あるいは夜な夜な集まっておしゃべりを楽しむ人など、早くも話題のスポットになっているようです。人気のメニューは、じっくり煮込んだカレーや、手作りスイーツ。お茶の産地として知られる、那智勝浦の色川地区のほうじ茶を使ったチャイなども。ちなみにカフェの隣では、お父さんがマグロの販売所を、2階ではお姉さんがエステサロンをやっているそう。

アマアイ〜雨間〜
和歌山県東牟婁郡那智勝浦町築地5-2-10 TEL.0735−52-0181
営業時間:11:30〜0:00 定休日:水曜

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温泉テーマパークのような巨大ホテル
あたかも浦島太郎が龍宮城へ行くように、勝浦港の桟橋から船に乗って行く変わった趣向のホテル。驚くべきは収容人数3000人というそのスケールで、迷子になりそうなほどの広さ。館内には昭和のどこか懐かしい雰囲気が漂い、大勢でワイワイ楽しむにはもってこいの場所です。お湯の評判もよく、天然洞窟でできた「忘帰洞」や「玄武洞」、絶景を楽しめる「遙峰の湯」など6種類のお風呂があり、湯めぐりを楽しめます。

ホテル浦島
和歌山県東牟婁郡那智勝浦町勝浦1165-2 TEL.0735-52-1011
www.hotelurashima.co.jp

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那智の水で作る、こだわりのお酢
明治12年の創業以来、伝統の古式醸造法をかたくなに守り、世界的な有名シェフに認められたお酢屋さん。「仕込み蔵は私にとっての道場です」と言う三代目の小坂晴次さんは、利よりも質を重んじる根っからの職人気質。熊野に息づく修験道とお酢作りの精神に共通点を感じている小坂さんは、毎朝仕込み蔵に入る前に二礼二拝をして法螺貝を吹きます。その仕込み蔵の中には、熊野杉で作られた高さ2メートルもの樽が所狭しと並んでいます。ステンレスの樽と違い杉樽は呼吸ができるので、発酵のしかたがまったく違うのだそう。そしてここのお酢に欠かかせないのが、那智山の伏流水。蔵の横にある井戸からは、こんこんと水が湧き出ていました。定番の「熊野の酢」や、モンドセレクション最高金賞を受賞した「那智黒米寿」、「ちゃんぽんず」や「黒にんにく黒酢」など、こだわりのお酢はお土産に最適です。

丸正酢製造元
和歌山県東牟婁郡那智勝浦町天満271 TEL.0735-52-0038
www.marusho-vinegar.jp

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勝浦に揚がったまぐろを使ったツナサンド
まぐろの水揚げ日本一を誇る勝浦漁港。この喫茶店では、自家製ツナを使ったサンドイッチを食べることができます。以前はツナ缶を使って作っていたそうで、「勝浦にいるのに、どうしてここのまぐろを使わないの?」というお客さんの何気ないひと言からメニューは生まれました。勝浦に揚がった生まぐろを使用して、ローリエやパセリ、その他香味野菜を加え、アクをとりながらボイルし、冷ましてからオリーブオイルその他の調味料を入れた自家製ツナサンドは、贅沢な一品。ママさんのさっぱりとした人柄にも癒されます。

コーヒーハウス 東洋亭
和歌山県東牟婁郡那智勝浦町築地3-3-1 TEL.0735-52-5248 
営業時間:8:30〜20:00 定休日:木曜

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熊野の絶景を独り占めできる宿
全客室から那智湾と熊野の山々を一望できる老舗の温泉宿で、潮騒を聞きながら刻々と変わりゆく海を眺める、至福のひとときを堪能できます。スタッフの方が生ける自生の草花が飾られていたり、朝食に那智の天然水が用意されていたりなど、細やかな心配りにも、熊野の自然の豊かさを感じさせてくれます。大浴場は広々として開放的。庭園露天風呂「滝見の湯」からは、その名の通り、那智の滝を拝むことができます。

かつうら御苑
和歌山県東牟婁郡那智勝浦町北浜海岸 TEL.0735-52-0333 
www.katuuragyoen.co.jp

INFORMATION

那智勝浦エリアの観光情報はここでチェック!

那智勝浦町観光協会 www.nachikan.jp

ACCESS

那智勝浦エリアへのアクセス

●飛行機&鉄道
東京(羽田空港)から、JAL南紀白浜便で南紀白浜空港へ(約1時間。1日3便)。バスまたはタクシーでJR白浜駅へ。白浜駅より紀勢本線、那智勝浦駅下車。もしくは、南紀白浜空港からレンタカーを利用。南紀白浜空港正面にニッポンレンタカーの南紀白浜空港営業所あり。 JAL www121.jal.co.jp
ニッポンレンタカー南紀白浜空港営業所 TEL.0739-42-4344

●高速バス
埼玉(大宮)・東京(池袋)から勝浦温泉行き、名古屋から勝浦温泉行きの高速バスあり。
三重交通 www.sanco.co.jp

和歌山県の観光について
和歌山県観光連盟 TEL.073-422-4631
www.wakayama-kanko.or.jp


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