何かと気ぜわしなくなる季節ですが、じっくりと時間をつくって愉しみたい、ふたつの展示会のお知らせです。

ひとつは、生活に根づいた器を生み出す作陶家の安藤雅信と妻の明子が1998年に岐阜県多治見の山林に民家を移築して開廊した〈ギャルリ百草〉による、『百草展』。安藤雅信は、茶器や食器、彫刻を。そして、衣服の制作を続けてきた安藤明子は、百草サロンを中心にゴムズボンやタブリエなどを展開。また、多くの愛好者を持つ〈ギャルリ百草〉オリジナルのガーゼタオルやよだれかけ等の布製品、枕や白磁猪口、李朝写し匙など、生活雑貨も揃います。〈ギャルリ百草〉の、着る・食べる・住むという生活の基本から見つめた美術や工芸の在り方を感じとることのできる展示です。

もうひとつは、安藤雅信の器形に〈ミナ ペルホネン〉デザイナー、皆川 明が紋様を描いた陶器の展示『皆川 明＋安藤雅信展　森のさえずり』。異なる分野で創作活動を続けてきたふたりによるコラボレーションは本展示で5度目となるが、今年は冬の静けさに聞こえてくる鳥のさえずりをイメージした、静かで強い器が並びます。

いずれも西麻布「ギャラリーMITATE」「ギャラリーle bain」で12月24日（木）までの開催。生活における美を伝導するクラフトマンシップに触れてみてください。安藤雅信の作品をご紹介している、本誌68号「クラフトワーク」特集はこちらからご覧ください。