戦後、71年を迎えた今年。米国のバラク・オバマ大統領が広島市の平和記念公園を訪れ、「広島と長崎は核戦争の夜明けとしてではなく、道徳的な目覚めの始まりとして知られるだろう」と、核なき世界への祈りを込めた演説はみなさんの記憶にも新しいのではないでしょうか。昨年、戦後70年という節目を迎え、広島テレビで制作された「いしぶみ〜忘れない。あなたたちのことを〜」を、新たに再編集をした劇場版『いしぶみ』が7月16日（土）より全国順次公開。

監督、是枝裕和さんの演出のもと、広島出身の女優、綾瀬はるかさんが静かに朗読をする本作は、原子爆弾の一瞬の閃光に焼かれ、幼くして命を奪われた旧制・広島第二中学校の1年生321名が最後に残した言葉を現代へ伝えます。もともと本作の基となったのは、1969年に広島テレビで制作され、当時のテレビ界に大きな衝撃を与えたドキュメンタリー作品「碑」。監督、松山善三さんによる演出、広島出身の女優、杉村春子さんが遺族から寄せられた手記をひとり静かに語るこの作品は、昭和44年度文化庁芸術祭優秀賞をはじめとする数々の賞を受賞し、戯曲化や書籍化されテレビ史に於ける金字塔となりました。それから、46年。是枝監督、綾瀬さんとともに、ナビゲーターとしてジャーナリストの池上 彰さんが加わり、中等学校以上の学生が軍需された「学徒動員」について問い、同じ過ちを再び繰り返さぬようこれからを生きる後世へのメッセージとして新たに息を吹き返します。

劇場公開に先駆け、本劇場へ3組6名様をご招待。平和記念公園に今なお残される「いしぶみ」に刻まれた子どもたちの思いを、真摯に受け止めてみてください。