岡尾美代子のおいしー!グロッサリーですよ

vol.01ハチミツ

文:岡尾美代子
ロゴ:しまおまほ

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 焼きたての食パンをざっくりと手でちぎって、ハチミツをたっぷりと垂らして食べる。もぐもぐ。甘くて、おいしくて、クマのプーみたいに、人間のミー(me)も幸せな気持ちになる。
“おいしい”は幸せにつながっている。去年起こった災害の後に、普段の、決して特別ではない毎日の暮らしの中に、幸せなことがたくさん隠れていた、ということに気づいたという人も多いのではないかしら。私もそのひとりで、元気であること、家族がいること、帰る場所があること、そして温かな食事が食べれられること......そんなつい忘れてしまいそうなことが、幸せの根本なのだということをしみじみと感じた。なので、今回から始まるこの連載では、おいしくて、かわいくて(これもやっぱり大切)、食べるとうれしく、笑顔になるものを紹介しようと思う。どうぞよろしくお願いします(ぺこり)。
 さて第1回目は、私の好きなハチミツの紹介。イギリスのカントリーサイド好きの憧れの場所、コッツウォルド。ハチミツ色の家並みと絵画のような田園風景(!)が広がる、イギリスでいちばん美しいといわれる場所で採れるのが、この「コッツウォルドハニー」。
 私がこのハチミツと出合ったのは確か20代半ば頃。銀座和光のフードショップで売られていたと記憶している。最初はぽてっとした安定感のある瓶に惹かれて買ってみたのだけれど、一口食べて「ハチミツってこんなにおいしいものだったの!」と驚いてしまった。子どもの頃から食べていた国産のものとは、マイルドさが全然違ったから。実家では地元のレンゲの花のハチミツを食べていたのだが、ツンと尖ったような風味が実はちょっぴり苦手だったのだ。
 これがきっかけで、一概にハチミツといってもいろんな味があるのだなと気づいてからは、いろんなハチミツを試すようになった。旅行先でも自分へのお土産と称して、必ずハチミツを買うようになったし(ただし、どれを買うかは慎重に選ぶようにしている、だって重いからね)。

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 ところでこのコッツウォルドハニーには液状タイプと結晶タイプの2種類がある。結晶タイプというのは、液状タイプを冷却装置のついた大きな釜に入れ、しながら1週間かけて、ゆっくりゆっくり冷やして作ったもので、滑らかな口あたりが特徴。最近、私がトーストに塗っているのはこちらのタイプ。喉が痛いなと思うときには、ティースプーン1杯分をそのまま舐めたりもする。その間、なんだか幸せな気持ちになるのは、甘いお薬がうれしかった子どもの頃の名残りなのかなぁ(笑)。

問い合わせ:エイチ・アンド・アイ TEL.03-3541-2641
www.hi-ginza.co

PROFILE

おかお・みよこ/スタイリスト。日々“かわいい”を探して街を放浪しています。(自分のなかでは『母をたずねて三千里』のマルコのイメージで、強風のなかを歩いています)。鎌倉で友人の馬詰佳香と一緒に「ロング・トラック・フーズ」という小さなデリのお店もやっています。「母の友」(福音館書店)での連載(現在は終了)をまとめた本、『雑貨の友』(筑摩書房)を出版しました。

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