岡尾美代子のおいしー!グロッサリーですよ

vol.02ジャム

文:岡尾美代子
ロゴ:しまおまほ

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 以前、雑誌の取材でカリフォルニア州バークレーにあるジューン・テイラーさんのショップ兼ジャム工房「The Still-Room」を訪ねたことがある。
 倉庫を改装した白い箱のような空間。高い天井には天窓がひとつ。その窓からはカリフォルニアらしい強くクリアな光が差し込んで、どこかな雰囲気を作っている。そんな場所でジューンさんは毎日ジャムを作っている。
 取材ではジャム作りを教わりながら、私も実際に作業を手伝わせてもらった(なんと幸運な!)。レモンを切って果実を取り出すというパートだったのだが、作業の間中レモンのいい香りがして、なんとも幸せな、楽しい時間だった。そのときに教わったのは、取り除いた薄皮や種は捨てず、そこからペクチンをとるということだった。ジューンさんのジャムは市販のペクチンはいっさい使用しておらず、こういう風に果物に含まれるペクチンだけを使って作られているのだそう。だから一般のジャムのイメージよりもゆるっとした独特な仕上がりになっている。

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 このときにもうひとつ教わったのが今回紹介する「STRAWBE RRY & ROSE GERANIUM CONSERVE」。イチゴを煮るときに鍋の中にジューンさんの庭(彼女は“キッチンガーデン”と呼んでいた)で摘んだローズゼラニウムをガーゼの袋に入れて一緒に煮込む。その時間は彼女の勘と経験によるものでしかないのだが、出来上がったジャムはイチゴの酸味とローズゼラニウムの爽やかな味わいのバランスが絶妙(私なんかはそのままスプーンですくってぱくぱく食べてしまう。それくらいおいしー!、のだ)。果物とハーブをこんな風に合わせてみようと思いつくのがすごいと思う。「The Still-Room」のあるバークレーや、サンフランシスコにはオーガニックのファーマーズマーケット(夕方から始まるナイトマーケットというのもある)やスーパーがあって、そこで人々の生活を垣間見るのが私の旅の楽しみのひとつだったりするのだが、フレッシュな果物や野菜が豊富に並んでいるということ。環境が本当にましい。「ジューン・テイラー・カンパニー」のジャムはすべてがオーガニックというわけではないけれど、長年彼女と取引をしてきた信頼できる小規模な家族経営の農園からフルーツを仕入れている。作り手の顔が見えるということにこだわっているそうだ。そして丁寧に育てられた、新鮮な季節のフルーツを新鮮なうちに、すべて彼女の手の届く範囲でジャムにしているのだ。だからほかのジャムと比べれば高価だけれど、彼女のジャムはいろんな人を虜にするのだと思う。ペロペロ(しつこくジャムを舐めつつ)。

問い合わせ:BE A GOOD NEIGHBOR TEL.03-5770-3195
www.beagoodneighbor.net/

PROFILE

おかお・みよこ/ネコ大好き。スタイリスト。日々“かわいい”を探して街を放浪しています。(自分のなかでは『母をたずねて三千里』のマルコのイメージで、強風のなかを歩いています)。鎌倉で友人の馬詰佳香と一緒に「ロング・トラック・フーズ」という小さなデリのお店もやっています。毎月「びん詰めプロジェクト」という、フレーバーオイルを販売して売り上げを東日本大震災の支援金にするプロジェクトを行っています。

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