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REPORT

新しい写真の可能性を切り拓く
大森克己 写真展『♯soundsandthings』開催

震災直後の春、桜に導かれて東京から福島へ旅した作品『すべてははじめて起こる』、さまざまなスピンオフ展、写真家同士で議論し合うトークイベントなど、表現のフィールドを拡張し、写真の持つ可能性を切り拓く活動を続ける、写真家・大森克己さん。『すべてははじめて起こる』の福島巡回展の延長で本誌のために撮影していただいた、大雪の中で逞しく生きる木々(本誌62号『東北のうた』特集の表紙写真)は、報道写真にはない作家性の高い表現で、被災地とこれからの暮らしを考えるきっかけを与えてくれました。

このような写真を通したプロジェクトで多くの人々を惹きつけてきた大森克己さんが次の表現方法として選んだカメラは、なんと「i-phone 6」。インスタグラムなどのSNSを通じて発表されるプロジェクト『♯soundsandthings』のプリント作品を展示する、同名写真展が7月4日(土)より八ヶ岳「gallery TRAX」にて開催されます。

以下は、作家本人のコメントより抜粋。

"以前は携帯電話で写真を撮影することに何かしら言い訳のようなものが自分の中にあったのだが、いまやごく普通のカメラとして活躍し、「デジタル写真」というものがついに自分のモノになったように思えて、なかなかにうれしいものである。毎日出会った景色や人を撮り、間髪を入れず SNS で公開する。そしてあまたある SNS のなかでもインスタグラムがこのところ自分の写真を公開する主要な場所のひとつになってきた。自分の写真を様々な人が見てくれるということはもちろん楽しいのだが、それよりも、#(ハッシュタグ)という機能によって、自分の写真があるひとつの言葉(#なんとか)を軸にしてまったく知らない人が撮影した写真や映像と一緒のグループに分類されることにドキドキする。(大森克己)"

続いて、7月11日(土)より恵比寿「MEM」にて、昨年行われた写真展『sounds and things』の第二弾となる『when the memory leaves you - sounds and things vol.2』を開催。バラバラの場所で撮影されたさまざまなモチーフを組み合わせ、そこに添えた言葉を通して、"目に見えるものと目にみえないものの境界"や"時間の意味"について問いかけます。会期中、8月1日(土)には日本版『WIRED』を手がける若林恵編集長と共に入場無料の対談企画も開催予定。写真だけでなく、生の言葉を受け取れるチャンスでもあるので、ぜひ足を運んでみてください。

INFORMATION

♯soundsandthings

会期: 2015年7月4日(土) 〜 7月26日(日)11:00〜17:00
定休日: 火曜、水曜、木曜
会場: gallery TRAX
(山梨県北杜市高根町五町田1245)
TEL: 080-5028-4915
WEB: gallerytrax.tumblr.com

"when the memory leaves you" - sounds and things vol.2

会期: 2015年7月11日(土) 〜 8月9日(日)12:00-20:00
定休日: 月曜(月曜祝日の場合、翌日定休)
会場: MEM
(東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 2F)
TEL: 03-6459-3205
WEB: mem-inc.jp

PROFILE

大森克己(おおもり・かつみ)/1963年兵庫県生まれ。'94年に『Good Trips,Bad Trips』でキャノン写真新世紀展ロバート・フランク賞、飯沢耕太郎賞をダブル受賞。2013年東京都写真美術館でのグループ展「路上から世界を変えていく」に参加。2014年にはMEM での個展「 sounds and things 」、PARIS PHOTO 2014 への出展など精力的に活動を行っている。主な写真集『サルサ・ガムテープ』(リトルモア)『encounter』(マッチアンドカンパニー)『サナヨラ』(愛育社)『すべては初めて起こる』(マッチアンドカンパニー)など。

新しい写真の可能性を切り拓く<br>大森克己 写真展『♯soundsandthings』開催

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▲インスタグラムで発表された写真。さまざまな"♯(ハッシュタグ)"が付けられている。

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▲写真展『"when the memory leaves you" - sounds and things vol.2』より "When the memory leaves you / Tokyo 2008"