写真:田原あゆみ 文:草深早希
REPORT
ヨーガン レール
ゴミから生まれた、美しいプロダクト[後編]
デザイナー、ヨーガン レールさんが、生前、沖縄・石垣島で取り組んできた、浜辺のプラスチックゴミから美しいランプシェードを作るプロジェクト。自身のブランド〈ヨーガン レール〉〈ババグーリ〉と同じように熱意を注いだこのプロジェクトが、7月18日(土)より東京都現代美術館で開催される展覧会『おとなもこどもも考える ここはだれの場所?』にて展示されます。
※[前編]は、こちらから
本展では、レールさんのプロジェクトに加え、アーティスト、岡田裕子さんと会田誠さん、ふたりの息子である会田寅次郎さんによるユニット「会田家」や、造形作家、批評家としても知られる岡崎乾二郎さん、フィリピンのアーティストユニット「イザベル&アルフレド・アキリザン」など、4組の作家が参加。私たちを取り巻く地球環境や教育、自由について問題を投げ掛ける、これからを生きるこどもたちに向けた展覧会です。
▲浜辺に流れ着くペットボトルのフタから生まれたカラフルなランプシェード。会場には、ヨーガン レールさんのアトリエが再現されるほか、ランプシェード約90点が並びます。
また、本展覧会に展示されるレールさんの作品をまとめた書籍『On the Beach 1』、『On the Beach 2』が同時発売。本書では、美しく儚い沖縄の海を舞台に、ゴミから作られたランプシェードや、アトリエでの制作風景、浜辺で朽ち果てたビーチサンダルなど、本人が撮り下ろした写真を2部に渡り収録。その一部を抜粋し、レールさんが残したコメントとともにご紹介します。
"ゴミだけで何かを作り出せるほどに沢山流れ着くので、そのことを多くの人に知って欲しかったからです。"
"遠目には美しく見える砂浜なのに、こんなことになってしまっている。誰でもない人間がしたことです。「これは文明の終わり......」。私にはそう思えてなりませんでした。"
"私は日本人ではありませんが、この国に来て40年以上も住んでいます。美しかった日本を覚えています。もしも許されるなら、ずっとこの国で暮らしたい。
だから知って欲しいのです。こんなに汚れてしまったことを、そして、ゴミを取り除くことの必要性を、ゴミを出さない暮らしの重要性を。これは、日本だけの問題ではなく、世界中に伝えたいことです。"
"醜いプラスチックのゴミを大量に見せただけでは、その恐ろしさを分かってもらえないのなら、私はそのゴミを使って、何か自分が美しいと思うものをつくり出す努力をします。ただ美しいだけのオブジェではなく、もう1度、人の役に立つ実用性のあるものに変えましょう。"
"これは、ものを作ることを仕事にしている私の小さな抵抗です。それによって、この大量のゴミに目を向けてもらえるように。"
こどもたちは、この真摯なメッセージをどのように受け止めるのでしょうか。今年2月、ストックホルムで行われた展覧会『EARTH MATTERS』でのランプシェードの展示に続き、プロジェクト日本初公開となる貴重な機会。是非、ご家族で足を運んでみてください。
EVENT INFORMATION
おとなもこどもも考える ここはだれの場所?
会期: | 2015年7月18日(土)〜10月12日(月・祝)10:00〜18:00 (7月〜9月の金曜は、21:00まで)※入場は、閉館の30分前まで |
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休館日: | 月曜(月曜・祝日は、開館)、7月21日(火)、9月24日(木) |
入場料: | 一般 1,000円、大学生・専門学生・65歳以上 800円、中高生 600円 |
会場: | 東京都現代美術館 企画展示室1階(東京都江東区三好4-1-1) |
TEL: | 03-5245-4111(代表) |
WEB: | mot-art-museum.jp |
協力: | 株式会社ヨーガン レール、江東区立元加賀小学校 |
※詳細は、東京都現代美術館HPにてご確認ください。