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REVIEW

銀閣 慈照寺が伝える日本古来の文化。 いけ花を通し自然のこえをきく『造化自然』

ecocolo 67号の特集「ブラウン・ライフ」にて、取材をさせていただいた銀閣 慈照寺の花方教授を務める花人・珠寳さん。今年に入り、編集会議を重ねるうちに「土」「ブラウン」というキーワードが浮かび上がってきていた頃、書店でふと目に留まったのが、この珠寳さんの著書『造化自然』でした。

これまで、「華道」という文化に興味を持ったことのなかった私でしたが、このモノクロの表紙には潔さと日本の感性のようなものが漂い、ページをめくると、いわゆる“作品です”という過度な主張がない、素のままのような芯の強さを感じさせるいけ花の写真が並んでいて、ひと目でこの本が好きになりました。そして、帯に書かれた「花をすることは、自然の摂理へと両足をそろえて飛び込むこととこころえるべし」という言葉にも、これまで抱いていた華道という文化に対するイメージがすっかり払拭されたのです。

珠寳さんのことを調べていくうちに、銀閣寺では、2004年から坐禅をすることと同じ目的でいけ花をする花道場が銀閣寺内に設けられ、以来珠寳さんがお花を担当し、この花道場を前身に、2011年には、研修道場が開場。室町文化の中で発展をみた禅・茶花香と響きあう文化の講座(和歌、水墨墨蹟、中世芸能、美術工芸など)元来、神仏に献ずる目的の講座が開設され、また、この6年で国際交流として海外に出かけ、いけ花を伝える機会が増え続けていること。そしてなにより、珠寳さんが、裏庭の畑で自ら花を育てていることを知り、『造化自然』に綴られた言葉の一つひとつが、私の中でさらに深みを帯びていきました。

インタビューの中でも、珠寳さんは華道にイメージされる“型”や“流派”よりも、その大本にある“自然”に重きをおいているとお話されています。古くから日本に脈々と流れる自然観。日本人として大切にしていくべきこととは何かを、きっと見つけられると思います。本誌にある珠寳さんのインタビューとともに、ぜひ読んでいただきたい一冊です。

そして、『造化自然』の凛とした文章とはまた少し違う、珠寳さんのフランクな人柄がにじみ出るような研修道場のウェブサイトにあるブログも、個人的に楽しく読ませていただいています。ここでは国際交流のことなど日々の雑感が書き留められているので、興味のある方は、ぜひこちらもご覧ください。(ecocolo編集部 石田エリ)

INFORMATION

『造化自然 銀閣慈照寺の花』
著:珠寳 淡交社|¥3,024(税込)

花のこえをきき、花をする。珠寳さんの日々の花の写真と「入門ABC」「いけばなの理」「初作 はじめに身につけること」など、花と向き合う姿勢を紹介。デザインを原研哉さん、写真を渞忠之さんが手がけた装丁も素晴らしい一冊です。巻末に英・仏文訳付き。

PROFILE
銀閣 慈照寺 花方教授 珠寳(しゅほう)/神戸生まれ。慈照寺ゆかりの無雙眞古流に入門。その後、原点にもどり義政公時代の花を知る。2004年、慈照寺初代花方に就任。同年、坐禅と同じ目的で開かれた「花道場」にて「いけ花」を担当。2011年4月、一視同仁の精神を基に「慈照寺研修道場」が開場。同時に現職。2013年10月『造化自然 銀閣慈照寺の花』を出版。また、2008年からフランスで、2010年から香港で、慈照寺国際交流を開始。禅・茶花香の講座など、多岐に渡るプログラムを毎年実施。2014年はメキシコ、モナコ、ポートランド(米国)から初めて招待を受ける。www.ginkakuji.jp



銀閣 慈照寺が伝える日本古来の文化。 いけ花を通し自然のこえをきく『造化自然』

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