© 2014 Avocados and Coconuts.
文:草深早希
REPORT
本当においしいコーヒーを求めて、"豆から一杯まで"のストーリー『A FILM ABOUT COFFEE』[前編]
毎朝、目覚めの1杯に何を選びますか? 日本におけるコーヒーの歴史を辿ると、昭和から続く日本のコーヒー文化を代表する喫茶店や、1990年代後半から人々が集う“空間”として新たなポジションを築いたカフェ、2000年前後から次々と日本上陸を果たす外資系カフェ、そして、2010年前後から東京のあらゆる場所にコーヒースタンドが誕生し、近年、さまざまなスタイルでコーヒーを選ぶことのできる時代が到来。数年前よりもなお、私たちの暮らしの中に「コーヒー」という物質的な価値が確立してきているのではないでしょうか。そんな、今日を揺るがすほど世界的に成長をし続けるコーヒーの“豆から一杯まで”のストーリーを美しい映像で描いたドキュメンタリーフィルム『A FILM ABOUT COFFEE(ア・フィルム・アバウト・コーヒー)』が12月12日(土)より公開。本作劇場へ5組10名様をご招待します。
舞台となるのは、ニューヨーク、サンフランシスコ、ポートランド、シアトル、そして、東京。アメリカを筆頭にコーヒー文化を牽引する5つの都市で活躍する、この時代に重要なコーヒーのプロフェッショナルをフォーカスした本作は、“コーヒーベルト”と呼ばれる北回帰線から南回帰線までの約70ヶ国のコーヒー農園の中から豆を厳選、仕入れた生豆の鮮度をできるだけ損ねないよう日々研究を重ねるロースターの手により丁寧に焙煎、芳醇な香りを纏った小麦色の焙煎豆をバリスタの高度な技術によりドリップするという、それぞれのアプローチを追求した“究極のコーヒー”が私たちの元へ届くまでをわかりやすく伝えます。
そもそも、アメリカにコーヒー文化が渡ったのは、1600年代のこと。1600年代後半にニューヨークがコーヒー豆の国際的な貿易場となったことをきっかけに、1800年代初期の米英戦争を経て独立後、ブラジルからコーヒー豆が流入したことからアメリカ全土へコーヒーの普及が始まります。それでも、まだ当時のコーヒーは贅沢な嗜好品。文明の発達とともに誕生した鉄道や蒸気船によって、1870年代にラテンアメリカから大量のコーヒー豆の輸出が発展し、よりポピュラーな飲み物としてアメリカ国民に定着していきました。
そんなアメリカを代表し本作に登場するプロフェッショナルのひとつは、オレゴン州ポートランドに拠点を置く「スタンプタウン・コーヒー・ロースターズ」。コーヒー農園を営む生産者と密な関係を築くこと、そして、コーヒー豆への品質の意識がそれほど行き届いていなかった1999年の設立当時から、高品質な豆を栽培するルワンダの小規模農園と「ダイレクト・トレード」と呼ばれる直接取引を行なってきました。一定の価格が設定されるフェアトレードと異なり、ロースターのバイヤーと農家が直接交渉して豆の値段を設定できるダイレクト・トレードによって、「スタンプタウン・コーヒー・ロースターズ」とともに高い品質を維持し続けるいくつもの小規模農家が経済的に自立できるほど成長。生豆バイヤーのダリン・ダニエルが、何度も現地に足を運び、生産工程や精製の方法について生産者たちとコミュニケーションを重ねながら、より良い豆を探し求めるその背景にカメラが迫ります。
一方で、カリフォルニア州オークランドを拠点とする「ブルーボトルコーヒー」創始者、ジェームス・フリーマンは、自らのコーヒーのルーツや、コーヒーを淹れるという行為をひとつのパフォーマンスとして魅力的に叶えたサイフォン・バーへの熱い思い、そして、アメリカからほど遠い島国、日本の純喫茶への憧れを語ります。ニューウェーブを先導する東京のコーヒースタンドとして本編に登場するのは、「ベアポンド・エスプレッソ」、「オモテサンドウ・コーヒー」、「ブルーボトルコーヒー清澄白河ロースタリー&カフェ」、「フグレン・トウキョウ」、「リトル・ナップ・コーヒー・スタンド」。そして、多くのファンに愛されながらも2013年に閉店した名店「大坊珈琲店」のコーヒーがスクリーンの中で鮮やかに復活します。
産地や栽培方法に至るまで厳しい品質管理をクリアした、風味が良く、飲む人がおいしいと満足する「スペシャルティコーヒー」は、ここ数年でマーケットが拡大し、私たちの生活の中でもより身近な存在として感じられるようになりました。1杯のコーヒーに魅了された人々が、情熱を込めて淹れるこだわりのコーヒー。それは、これまで当たり前だった“質より量”のコーヒー業界へのカウンターという意味を含みながら、豆の生産者からショップでコーヒーを受け取るまでのさまざまな人と人との繋がりによって、経済に新たな潮流を生み出しつつあります。燻したコーヒー豆の芳ばしい香りすらスクリーンから伝わってきそうな、コーヒーへの愛情が育んだ本作を通して、いつものコーヒーに新しい一面を感じられることでしょう。
※[後編]では、本編に登場した東京のコーヒースタンドとこだわりの1杯をご紹介します。
INFORMATION
映画『A FILM ABOUT COFFEE』
監督: | ブランドン・ローバー |
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提供: | シンカ、ヌマブックス、シャ・ラ・ラ・カンパニー |
配給: | メジロフィルムズ |
WEB: | afilmaboutcoffee.jp |
※2015年12月12日(土)新宿シネマカリテモーニング&レイトほか、全国順次公開決定!
PRESENT
映画『A FILM ABOUT COFFEE(ア・フィルム・アバウト・コーヒー)』劇場招待券を
5組10名様にプレゼント!
応募〆切:12月11日(金)12時
※上映劇場情報は、予め本作ホームページにてご確認ください。
※当選者は鑑賞券の発送をもって発表とさせていただきます。
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