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本当においしいコーヒーを求めて、

文:草深早希

REPORT

本当においしいコーヒーを求めて、"豆から一杯まで"のストーリー『A FILM ABOUT COFFEE』[後編]

近年、東京のあらゆる場所にコーヒースタンドが誕生し、さまざまなスタイルでコーヒーを選ぶことのできる時代が到来。数年前よりもなお、私たちの暮らしの中に「コーヒー」という物質的な価値が確立してきているのではないでしょうか。そんな、コーヒーの“豆から一杯まで”のストーリーを美しい映像で描いたドキュメンタリーフィルム『A FILM ABOUT COFFEE(ア・フィルム・アバウト・コーヒー)』が12月12日(土)より公開。本作の中で「コーヒーをつくる人が百人いれば、百通りのこだわりがあり、飲む人が百人いれば、百通りの好みがあります」と、今はなき伝説の「大坊珈琲店」バリスタの大坊勝次さんは話します。常に求める人の口に合う、おいしいコーヒーを淹れるというバリスタの仕事は、研ぎ澄まされた感覚を維持しなくてはならない、ひとつの職人芸の世界。ここでは、本作に登場したニューウェーブを牽引する東京のコーヒースタンドとそのこだわりの1杯をご紹介します。

※[前編]は、こちらから

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1杯のコーヒーから生まれる、コミュニケーション

小田急線・代々木八幡から線路沿いに徒歩数分。代々木公園からほど近い、視界の広がる市民公園の向かいにショップを構える「リトル・ナップ・コーヒー・スタンド」は、店内に数席のカウンターとベンチが取り付けられた小さなコーヒースタンドです。すべてを1から自分たちで関われるようなこと、そして、自分たちの生き方を考えた時に等身大でそれが可能なことをやりたいというオーナーバリスタ・濱田大介さんの思いから2011年にスタンドをオープン。「うちはエスプレッソにブレンドを使うんです。ブレンドを使うことによって、味の個性をお互いに面白く表現してくれるんです。エスプレッソのように複雑な味を表現したい、ミルクを入れることによって味がどういう風に豊かに表現されるかがブレンドの“スパイス”になります」と、トラディショナルなコーヒーのスタイル=エスプレッソを貫く濱田さんはその魅力について話します。ブレンドに使われる豆は、シーズン毎に変わる豆の特徴を最大限引き出せるよう信頼のおけるロースターと話し合いを重ね、スタイルに合う4〜5種類をセレクト。フルサービスをしない小さなスペースだからこそ、上質な豆のクオリティを保ちながらも良心的な価格設定でコーヒーを提供できることも魅力のひとつ。地域の人たちがふらっと立ち寄れる社交場として、公園の側にある気の利いた売店として、連日多くの人たちが濱田さんの淹れるコーヒーを飲みに訪れる、そんな、ローカルに愛されるコーヒースタンドです。

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▲ クリーミーなミルクの中に通常のコーヒー豆の3倍を凝縮し抽出したエスプレッソの風味がしっかりと際立つ、看板メニューのラテ。カフェ・ラテ(S)¥400、(M)¥450|税込

SHOP DATA

Little Nap COFFEE STAND

住所: 東京都渋谷区代々木5-65-4
時間: 9:00〜19:00
定休日: 月曜日
TEL: 03-3466-0074
WEB: littlenap.jp

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日本のスタイルを追求した、1杯のコーヒー

表参道という絶好なロケーションの裏路地に佇む、木造建築が奥ゆかしい日本家屋。日本だけでなく、欧米、欧州、アジアなどからのグローバルな人々で賑わう「オモテサンドウ・コーヒー」は、オープン当初、1年間という期間限定のショップとして2011年にスタートしました。「コーヒーも食材。自分たちのショップで出すからには、豆にも“仕込み”が必要で、素材を探すところから始め、自分たちで豆をブレンドしながら味を作っています」とオーナーバリスタ・國友栄一さん。より高いクオリティを求め、理想の焙煎を叶えるロースターの豆をショップでブレンドし、極めてシンプルなプロセスによって淹れられるコーヒーは、苦味や酸味に偏らない、絶妙なバランスの味わいが特徴です。「お砂糖を入れますか?」と、カウンターで交わされる小さなコミュニケーション。その背景を「求める人のベストなものこそがおいしいコーヒーだと思います。“あのコーヒーがおいしかった”と記憶に残る1杯を淹れること、その本質を追求していくことが、バリスタとして重要な役割だと思います」と、國友さんは話します。オープンから約5年という歳月が経ち、建物の老朽化による建替に伴い、惜しくも今年12月30日(木)にクローズが決定。これまで日本で培ってきた自分たちのコーヒーへの考え方や思いが、どこまでの人に受け入れられるのかを試したいという更なる飛躍の場として、来年1月、海外初店舗となる香港にオープンするコーヒースタンドにも注目です。

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▲ きめ細かいミルクフォームの口当たりが、驚くほど滑らかなカプチーノ。シンプルにクラシックなプロセスを貫いたという定番メニューが飲めるのも残り僅かです。カプチーノ¥430|税込

SHOP DATA

OMOTESANDO KOFFEE

住所: 東京都渋谷区神宮前4-15-3
時間: 10:00〜19:00
定休日: 無休
TEL: 03-5413-9422
WEB: ooo-koffee.com

※2015年12月30日(水)のクローズまでは、従来通り営業を行ないます

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“Seed To Cup(種からカップまで)”を描いた、背景の見えるコーヒー

清澄白河の閑静な住宅が立ち並ぶ一角に、今年、アメリカから「ブルーボトル・コーヒー」日本1号店が上陸。その創設者、ジェームス・フリーマンさんをはじめ、彼と密接な仲間たちが数多く携わる映画『A FILM ABOUT COFFEE』で語られる、豆がどこから来て、どのように1杯のコーヒーができるのか、きちんと見える環境をつくりたいという“Seed To Cup(種からカップまで)”を2002年の創設から取り組んできたコーヒースタンドです。日本の喫茶店に憧憬していたジェームスさんは、コーヒー文化が根ざし、舌が肥える人々が多い場所で勝負をしたい、そして、そこで学ぶことがブルーボトルコーヒーの成長に繋がるとの思いで数ある都市の中から東京を選択。東京、サンフランシスコ、LA、NYにある焙煎機で、バイヤーが厳選した生豆を各エリアのロースターによって焙煎。そのこだわりを「豆はフルーツのようなもの。華やかさやフルーティーさなど、それぞれの豆が持つ本来の特徴をどう焙煎したら引き出せるかを考えています」と、取締役の井川沙紀さんは話します。また、映画の見所のひとつ、コーヒー抽出に使われるサイフォンバー。ペーパーフィルターでは、オイルがフィルターに吸収されることによりスッキリとした味わいになる豆も、青山カフェで実施しているサイフォンでは、布のフィルターを使うことや、コーヒーオイルをしっかり閉じ込めることにより、より風味やコクのある味わいに。“おいしいコーヒー”とは何かという追求を、常に続けています。

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▲ コーヒー豆が持つフルーティーさを最大限活かした人気のブレンド「スリーアフリカン」。その名の通り、香りの高いアフリカの豆3種をブレンドしています。ブレンドコーヒー¥450|税込

SHOP DATA

BLUE BOTTLE COFFEE 清澄白河ロースタリーカフェ

住所: 東京都江東区平野 1-4-8
時間: 8:00〜19:00
定休日: 無休
WEB: bluebottlecoffee.jp

※日本でのサイフォンバーは、青山カフェで平日10時〜13時/17時〜のみ実施しています

さまざまなスタイルでコーヒーを選ぶことのできる時代だからこそ、確かな審美眼を持ち、お気に入りの1杯を飲みに通えるような愛着ある場所を見つけてみてはいかがでしょうか。

INFORMATION


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映画『A FILM ABOUT COFFEE』

監督: ブランドン・ローバー
提供: シンカ、ヌマブックス、シャ・ラ・ラ・カンパニー
配給: メジロフィルムズ
WEB: afilmaboutcoffee.jp

※2015年12月12日(土)新宿シネマカリテモーニング&レイトほか、全国順次公開決定!


PRESENT

映画『A FILM ABOUT COFFEE(ア・フィルム・アバウト・コーヒー)』劇場招待券を
5組10名様にプレゼント!
応募〆切:12月11日(金)12時
※上映劇場情報は、予め本作ホームページにてご確認ください。
※当選者は鑑賞券の発送をもって発表とさせていただきます。
ご応募はこちらから!