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写真家 石内都、メキシコの画家 フリーダ・カーロふたりの人生が交差する、ドキュメンタリー映画
日本が誇る女性写真家、石内都はこれまでに母の遺品を撮影した『Mother's』、広島平和記念資料館に遺された被爆者の遺品を撮影した『ひろしま』、群馬県桐生市に遺された銘仙と絹をテーマにした『絹の夢』などを発表。新たな写真表現の可能性を提示したと評価され、2014年に"写真界のノーベル賞"と呼ばれるハッセルブラッド国際写真賞を受賞しました。同じく世界的に知られるメキシコを代表する女性画家、フリーダ・カーロ。彼女の遺品を石内都が撮影したシリーズ『Frida by Ishiuchi』は、毎年パリで行われる写真の祭典「パリフォト」をはじめ世界中で注目を集め、新たなフリーダ・カーロ像を浮き彫りにしました。
今回ご紹介する映画『フリーダ・カーロの遺品―石内都、織るように』は、『ドキュメンタリー映画100万回生きたねこ』などを手がける映画監督、小谷忠典が『Frida by Ishiuchi』の制作過程に密着。フリーダの死後50年間閉ざされていたバスルームから発見された遺品を石内都が手にとり、それと対峙する姿を丹念に映像に収めました。幼少時代からの身体の不自由やメキシコ近代化の荒波に翻弄されながら、その時代を生き抜いたフリーダの遺品に宿る思いを卓越した眼差しで記録する石内都。ふたりの女性像と光と影、強く美しい色彩に魂を揺さぶられます。
テワナと呼ばれる刺繍の施されたドレスなど、フリーダは様々なメキシコのトラディショナルな文化を自身の表現に取り込みました。劇中では、撮影の舞台となったメキシコの様々なカルチャーや現代の街の空気も写し出されます。
本誌『ecocolo』67号「ブラウン・ライフ」特集では、写真集『Frida by Ishiuchi』(メキシコ・RM出版)について語る石内都のインタビューを掲載しています。合わせてご覧ください。
INFORMATION
フリーダ・カーロの遺品―石内都、織るように
監督・撮影: | 小谷忠典 |
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出演: | 石内 都 |
制作・配給: | ノンデライコ |
WEB: | legacy-frida.info |
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