工藤キキの貧乏サヴァラン

  • vol.05わたしは全身美容家。キキの化け猫美顔教室

    「魔利は他人の家に泊ったり、旅行をすると、そこの鏡にうつる顔は自分の顔ではないから厭だと言っていて、帰った日の翌日は縁のない果物屋の鏡に顔をうつし、自分の顔になっていそいそと外出し
  • vol.04前略、道の上より。 キキの路上向上委員会

    「《どうにかなるさ》この言葉はマリアの、根本から出る言葉である。マリアの、を言うと、縦のものを横にもしたくない精神、何もしないで寝ころんで推理小説を読み、食事と間食物の費用を削る心
  • vol.03キキの雑草スタイル研究所

    「幸、阿佐ヶ谷に、魔利がもののいいのを持っていくし、買った値段も瑕も正直に言うせいか、高く買って呉れる店があって、まだ在庫品の多かった頃には、五六枚持ちこめば二万円位には直ぐなった
  • vol.02キキと餃子の マリアージュ

    「マリアがどこそこの喫茶店の隅に座っているときけば、そこを通る時には百円か二百円をおいていってくれるきょうだいや友人、編集者の数は、少ないがないこともないが、いくら百円二百円でも、
  • vol.01魔利(まり)の貧乏、キキの貧乏

    「魔利は上に『赤』の字がつく程度に貧乏なのだが、それでいて魔利は貧乏臭さというものを、心から嫌っている」――森茉莉『贅沢貧乏』より  森茉莉のようなケタ違いのお嬢様上がりと比べる